事業年度終了届出書の書き方|表紙の記載と代理時の注意
事業年度終了届は、財務諸表や工事経歴書に目が行きがちですが、束のいちばん上に付ける表紙「事業年度終了届出書」にも細かな記載ルールがあります。1枚だけの書類なので後回しにしがちですが、許可番号・業種・事業年度など、他の書類と食い違うと確認の手間が増える項目が集まっています。
この記事では、愛知県の手引きの記載例をもとに、表紙の欄ごとの書き方と、行政書士が代理で作成・提出するときの注意点を整理します。
本記事は愛知県知事許可を前提とした一般的な情報です。様式の記載方法や添付書類の取扱いは都道府県によって異なる場合がありますので、提出先の手引きもあわせてご確認ください。
事業年度終了届出書とは
建設業法第11条第2項により、許可を受けた建設業者は毎事業年度経過後4か月以内に、財務諸表などの書類を提出しなければなりません。愛知県の手引きでは、この届出の表紙にあたる書類を「事業年度終了届出書」と呼び、添付書類一覧の最初に挙げています(個人事業主・法人とも必要)。
- 提出部数:正本1部・副本1部の計2部(副本は写し可)
- 電子申請の場合も必要:建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)で届け出る場合も、表紙は必ず作成・添付するよう案内されています
なお、東京都・大阪府では届出書の様式名や呼び名が異なります(「決算変更届は都道府県で違う?愛知・東京・大阪を比較」参照)。他県に提出する場合は、提出先の様式を使ってください。
欄ごとの書き方(愛知県の記載例より)
| 欄 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 届出日 | 届出日を記入します |
| 許可の区分(般・特) | 不要の文字を消します |
| 許可番号 | 許可番号を記入します。有効な許可年月日が複数ある場合は、最も古いものを記入します。許可の更新手続きの完了直後に提出する場合で、新しい許可年月日がまだ到来していないときは、従前の許可年月日を記入します |
| 業種と許可年月日 | 届出書を提出する時点で有効な許可を受けている業種を書きます。廃業した業種は記載しません。記載例では業種ごとに許可年月日を書く形になっています |
| 所在地 | 主たる営業所の所在地を書きます。ビル名などがある場合は続けて記載します |
| 商号又は名称・代表者氏名 | 届出書を提出する時点の内容を記載します |
| 法人番号 | 個人事業の方は記入しません |
| 事業年度 | 決算の期(第何期)と期間を記入します。個人の方は1月1日から12月31日までで、「第 期」は記入しません |
| 経営事項審査を申請する | 経審を申請する方は欄内に「○」を付し、提出窓口でその旨を申し出ます。○を付さない場合、職員は経審申請についての意思確認を行わないと案内されています |
| 連絡先 | 記載内容に関する質問などに応答できる方を記載します(詳しくは次の章) |
「提出する時点」で書く欄と「決算期」で書く欄が混ざっている
表紙で迷いやすいのは、時点の違う情報が1枚に並んでいることです。業種・商号・代表者・所在地は届出書を提出する時点の内容、事業年度は届け出る決算期の期間を書きます。決算期の途中や決算後に商号変更・代表者交代・業種の廃業などがあった場合は、決算書の記載とそのまま一致しないことがあるので注意してください。なお、営業所や役員などに変更があった場合は、変更内容に応じた届出もあわせて必要になります(「事業年度終了届(決算変更届)とは?期限と主な必要書類」参照)。
業種は工事経歴書・様式第3号と揃える
愛知県の手引きでは、工事経歴書(様式第2号)も「届出書提出時点で有効な許可を受けている建設工事の種類」ごとに作成し、直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)も「届出書提出時点で有効な全ての業種」について記載が必要とされています。表紙に書いた業種と、工事経歴書・様式第3号の業種が揃っているかを最後に確認すると、記載漏れを見つけやすくなります。実績がない業種の扱いは「工事経歴書の書き方」で解説しています。
行政書士が代理で作成・提出するときの注意
①申請者の下に代理人を書く
愛知県の記載例では、行政書士の代理申請の場合は、申請者名等を記載し、その下に代理人の住所・職氏名を記載するよう案内されています。
②連絡先欄は「質問に応答できる人」
連絡先欄には、事業年度終了届を作成した方で、記載内容に係る質問等に応答できる方を記載します。手引きでは次のように書き分けが示されています。
| 作成者 | 所属等 | 氏名 | 電話番号・ファックス番号 |
|---|---|---|---|
| 行政書士の代理・代行 | 行政書士事務所名(行政書士名) | 行政書士名又は補助者名 | 行政書士の連絡先 |
| 上記以外 | 課等がある場合はその所属と担当者氏名、課等がない場合は商号又は名称と担当者氏名 | (左欄に含めて記載) | 課等に直通の番号があればその番号、それ以外は申請者の番号 |
なお、個人の携帯電話や自宅の番号は記入しないよう案内されています。
③行政書士職印を押す
愛知県の手引きでは、行政書士による代理・代行申請の場合は、必ず行政書士職印(所属する行政書士会に届け出たもの)を押印するよう案内されています。根拠として挙げられている行政書士法施行規則では、第9条第2項で「行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない」と定め、第11条で職印は日本行政書士会連合会の会則の定めるところにより定めることとされています。
表紙で手戻りを防ぐ準備
表紙は1枚ですが、許可・会社・決算の情報が集まる書類です。受任時や作成前に次の資料を手元にそろえておくと、確認のやり取りを減らせます。
- 許可の内容:許可番号、般・特の区分、業種ごとの許可年月日(更新直後なら新しい許可年月日が到来しているか)
- 会社の現在の情報:商号、代表者、主たる営業所の所在地(ビル名まで)、法人番号
- 決算の情報:何期目か、事業年度の期間
- 経審の予定:経営事項審査を申請するかどうか(○欄・電子申請での入力に関わります)
経審を受ける場合は、表紙の○だけでなく、工事経歴書の記載範囲や財務諸表の消費税の処理など、他の書類の作り方も変わります。判断に迷う点は、提出先の窓口に確認してください。
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よくある質問
- Q. 電子申請システム(JCIP)で届け出る場合も表紙(事業年度終了届出書)は必要ですか?
- A. 必要です。愛知県の手引きでは、表紙は電子申請システムで届け出る場合も必ず作成・添付するよう案内されています。あわせて、経営事項審査を受ける場合は「経営事項審査 受審の有無」をシステム上で入力するよう案内されています。
- Q. 業種ごとに許可年月日が違う場合はどう書きますか?
- A. 愛知県の手引きの記載例では、届出書を出す時点で有効な許可を受けている業種を、業種ごとの許可年月日とともに書く形になっています。許可番号の欄については、有効な許可年月日が複数ある場合は最も古いものを記入するよう案内されています。許可の更新手続きが完了した直後で、新しい許可年月日がまだ到来していない場合は、従前の許可年月日を記入します。
- Q. 行政書士が代理で作成・提出する場合、押印は必要ですか?
- A. 愛知県の手引きでは、行政書士による代理・代行申請の場合は、所属する行政書士会に届け出た行政書士職印を必ず押印するよう案内されています(根拠として行政書士法施行規則第9条第2項・第11条が挙げられています)。
- Q. 経営事項審査を申請する欄に○を付け忘れるとどうなりますか?
- A. 愛知県の手引きでは、○を付けない場合、職員は経営事項審査申請についての意思確認を行わないので注意するよう案内されています。経審を受ける予定がある場合は、提出前に○の有無を確認し、窓口でもその旨を申し出てください。
根拠条文・参考資料
- 建設業法 第11条第2項(毎事業年度経過後4か月以内の届出)(e-Gov法令検索)
- 行政書士法施行規則 第9条第2項(記名・職印の押印)、第11条(職印)
- 愛知県「建設業法による変更届等の手引(事業年度終了届編)」令和8年4月(p.1 提出期限・提出部数・添付書類・電子申請時の注意、p.2 事業年度終了届出書の記載例、p.3 工事経歴書の記載例、p.9 様式第3号の記載例)