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決算変更届は都道府県で違う?愛知・東京・大阪を比較

2026-09-24 公開 | 執筆:高林栄二(行政書士・高林栄二行政書士事務所)

建設業許可を受けた会社が毎年出す「事業年度終了届」は、他の地域では「決算変更届」とも呼ばれます。根拠は同じ建設業法ですが、実際に書類をそろえてみると、都道府県ごとの手引きで細かな取扱いが違うことに気づきます。インターネット上の記載例をそのまま参考にすると、提出先の取扱いと食い違うことがあります。

この記事では、愛知県・東京都・大阪府が公開している手引き・案内ページを並べて、共通している点と違いが出やすい点を整理します。

本記事は愛知県知事許可を前提とした一般的な情報です。様式の記載方法や添付書類の取扱いは都道府県によって異なる場合がありますので、提出先の手引きもあわせてご確認ください。東京都・大阪府の取扱いは、2026年9月時点で各都府が公開している手引き・案内ページの記載を紹介したものです。

全国で共通していること

次の点は建設業法・建設業法施行規則で決まっているため、3都府県とも同じです。

  • 提出期限:毎事業年度経過後4か月以内(建設業法第11条第2項)。個人事業主は12月決算なので4月末が期限になります
  • 主な書類:工事経歴書(様式第2号)、直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)、財務諸表(法人は様式第15号〜第17号の2、個人は第18号・第19号)、事業税の納税証明書
  • 会社の形態で加わる書類:事業報告書は株式会社(特例有限会社を除く)のみ。附属明細表は、株式会社のうち資本金が1億円を超える、または直前の貸借対照表の負債合計が200億円以上の会社のみ
  • 変更があったときだけ出す書類:使用人数、定款、健康保険等の加入状況など

書類全体の一覧は別記事「事業年度終了届(決算変更届)とは?期限と主な必要書類」で解説しています。

3都府県の違い 早見表

項目愛知県東京都大阪府
手引き上の呼び名事業年度終了届(届出書は「事業年度終了届出書」)決算変更届(決算報告書)。届出書は「変更届出書」(別紙8)決算変更届。届出書は府規則様式第3号「変更届出書」
提出部数正本1部・副本1部の計2部(副本は写し可)正本・副本 各1部2部(1部は副本として返却)
提出方法の案内電子申請システム(JCIP)で届け出る場合の案内あり郵送可窓口持参・会場内の専用ボックスへの投函・郵送
様式第3号に書く年数届け出る事業年度の分のみ(3年分書く必要なし)届出の対象年度を含めた3年分―(本記事では未確認)
財務諸表の千円未満の端数端数処理を統一(原則切捨て)切捨て・四捨五入・切上げいずれも可―(本記事では未確認)
法人の納税証明書事業税の納税証明書(納付すべき額及び納付済額の記載のあるもの)/県税事務所発行法人事業税の納税(課税)証明書/都税事務所発行。届け出る事業年度分法人事業税納税証明書

「―」は、今回参照した大阪府の資料(決算変更届の案内ページ・建設業許可変更等届出の手引き)で該当する記載を確認できなかった項目です。大阪府に提出する場合は窓口でご確認ください。

違いが出やすいポイント

①呼び名と届出書の様式

愛知県の手引きでは「事業年度終了届」、東京都・大阪府では「決算変更届」と呼ばれています。手続きの中身は同じですが、表紙や届出書の様式は都道府県ごとに用意されているため、他県の様式をそのまま流用せず、提出先のホームページから最新の様式を入手してください。

愛知県の届出書には「経営事項審査を申請する」という欄があり、経審を申請する場合は「○」を付けて窓口でその旨を申し出るよう案内されています。

②様式第3号「直前3年の工事施工金額」に何年分書くか

最も差が大きいのがここです。様式の名前は「直前3年」ですが、愛知県の手引きでは、事業年度終了届では届け出る事業年度の期間のみ書けばよく、3年分書く必要はないとされています。

一方、東京都の手引きでは、決算報告に添付する場合は届出の対象となる事業年度を含めた3年間の各事業年度分を決算期別に記入するよう案内されています。決算期の変更があった場合は4期分以上の記入が必要になることがある、とも書かれています。

どちらの場合も、業種ごとの合計額は工事経歴書の合計額と、完成工事高の合計は損益計算書の完成工事高と一致させる点は共通です。完成工事高の考え方は「完成工事高とは」で詳しく解説しています。

③千円未満の端数処理

財務諸表や様式第3号は千円単位で記載します(会社法上の大会社は百万円単位も可)。千円未満の端数について、愛知県の財務諸表の記載例では「端数の処理を統一して(原則切捨)」とされ、東京都の手引きでは「切捨てのほか、四捨五入及び切上げも可能」とされています。

なお愛知県の記載例では、円単位の金額を合計してから千円単位で表示するため、千円単位で表示したものを合計しても一致しない場合がある、とも注記されています。

④納税証明書の取り方(特に個人事業主)

知事許可の場合は、事業税の納税証明書を添付します。発行元は、愛知県の手引きでは県税事務所、東京都の手引きでは都税事務所と明記されています。愛知県では「納付すべき額及び納付済額の記載のある証明書」と種類まで指定されているので、取得時に注意してください。

違いが出やすいのは個人事業主です。個人の届出期限は4月末ですが、大阪府の案内ページでは「個人事業税の納税証明書は8月末までは府税事務所で交付されない」とされ、それまでに届け出る場合は所得税確定申告書第一表の写しで代える取扱いが示されています。東京都の手引きでは、事業税が課税される個人は都税事務所の証明書、事業税が課税されない個人は税務署の「納税証明書(その2)」(摘要欄に事業所得金額の記載があるもの)とされています。

代わりの書類の扱いは細かな条件がありますので、個人事業主の方は提出先の手引きで必ず確認してください。

⑤複数年分をまとめて出せるか

出し忘れが複数年分ある場合でも、東京都の手引きでは、提出が遅れた決算変更届を複数年度分まとめて1冊にとじ込んで提出することはできないとされています。年度ごとに1冊ずつ作成するのが基本です。出し忘れたときの進め方は「事業年度終了届を出し忘れていたら?」で解説しています。

経審を受ける場合の共通の注意

経営事項審査を受ける場合、財務諸表は消費税抜きの処理が必要になる点は共通しています(免税事業者を除く)。東京都の手引きでも、財務諸表の表紙に「消費税込」または「消費税抜」と表記し、経審を申請する場合は「消費税抜」に統一するよう案内されています。工事経歴書の記載範囲も経審の有無で変わります(「工事経歴書の書き方」参照)。

他県の記載例を参考にするときのコツ

  • インターネット上の記載例や解説は、どの都道府県の手引きを前提にしているかをまず確認する
  • 様式第3号の年数、端数処理、納税証明書の種類は、提出先の手引きで必ず確認する
  • 様式は提出先のホームページから最新版を入手する(手引きは毎年改訂されることがあります)
  • 判断に迷う点は、提出先の窓口や行政書士に確認する

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よくある質問

Q. 決算変更届と事業年度終了届は別の手続きですか?
A. 同じ手続きです。建設業法第11条第2項にもとづき、毎事業年度経過後4か月以内に提出する届出で、愛知県の手引きでは「事業年度終了届」、東京都・大阪府の手引きでは「決算変更届」と呼ばれています。
Q. 様式第3号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)は何年分書きますか?
A. 都道府県の手引きによって案内が異なります。愛知県の手引きでは届け出る事業年度の分だけを書けばよく3年分書く必要はないとされ、東京都の手引きでは届出の対象となる事業年度を含めた3年間の各事業年度分を記入するよう案内されています。提出先の手引きでご確認ください。
Q. 千円未満の端数は切り捨てるのですか?
A. 愛知県の手引きの財務諸表の記載例では端数処理を統一し原則切捨てで千円単位にするよう案内されています。東京都の手引きでは切捨てのほか四捨五入・切上げも可とされています。いずれも1つの書類の中で処理方法をそろえることが大切です。
Q. 個人事業主の事業税の納税証明書が間に合わない場合は?
A. 大阪府では個人事業税の納税証明書が8月末まで府税事務所で交付されないため、それまでに届け出る場合は所得税確定申告書第一表の写しで代える取扱いが案内されています。なお東京都の手引きでは、事業税が課税されない個人は税務署発行の納税証明書(その2)を添付するとされています。取扱いは都道府県ごとに異なるため、提出先に確認してください。

根拠条文・参考資料

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